水泡

とある曲を聞いて頭に流れた景色を言葉にして綴る場所。

ヨルシカ『爆破魔』

どこにでもあるどこにでもない風景を照り返す、

嫌いになりそうなくらいの天気はちょっとだけ、

心を憂鬱にさせる。

 

窓に映る半透明な僕を見て、

『さよならだ、人類。みんな吹き飛んじまえ。』と

本物の僕が口を動かした。

 

"青春"という名にどれほどの価値があるのか、

当事者は何一つ知る由もない。

永遠に続くような、永久に約束されたような、1095日。

カウントダウンは全てを追い掛けてくる。

地球は徐々に傾きを変え、季節は彩りを操る。

 

囲われた箱の中で消えない夢を見ていたい。

数ばかり数え続けた大きな人達に否定されない夢を実感したい。

ずっと夢を見ていたい。

 

これは君の優しさが齎した"フクサヨウ"だ。

記憶の全てに君が居る。

 

見落とされる心も、

足掻いても、

嘆いても、

口だけの言葉にも満たない頑張りも、

投げ捨てたかった。

 

泣きも笑いも出来ないこの感情の行き場を

認められなかった、認めたく無かった。

 

"不完全な心を。"

 

だから、日々を壊したかった。

この日々を爆破したかった。

 

相も変わらず昇る月を睨み、

どこからか零れ落ちる雨を見落とし、

死んだ目で、

爆弾片手に街を眺めた。

 

何をしても振り向かなかった雑踏で、君だけは、振り返った。

 

痛みに気づいてくれた。

この感情に名前をつけてくれた。

僕を見つけてくれた。

 

本当はもっと笑いたかった。

本当はずっと戻りたかった。

 

でも、

もう、さよならだ。

だから、さよならだ。

 

君の優しさが辛い。

君の優しさが哀しい。

 

このままじゃ、君無しで生きれない。

 

今、ここで居なくなれ。

 

"青春"と名付けられた約束を僕は破る。

誰かとの約束を初めて破る。

 

そして、君を指差す。

最後どんな顔してたかな。

 

君が居なくなった世界が僕の全てだ。

 

あの百日紅は、まだ咲いているだろうか。

思い出を爆破した破片は、そこら中に落ちている。

 

結局黙っていなくなった君を忘れられないのは、僕のほうだった。

 

『さよならだ、吹き飛んじまえ。』