水泡

とある曲を聞いて頭に流れた景色を言葉にして綴る場所。

2016-01-01から1年間の記事一覧

ひかりのうみ

ひかりの海に投げ捨てた、硝子の瓶。 日を重ねる毎に手の届かない場所へと流れて行く。 知らぬ間に欠けた思い出の切れ端は、徐々に水を吸い込んで重みを増していく。 沈んだ奥の、奥の先に、「いつか」を追いかけるようになった僕の後ろ姿が、目の裏に焼き付…

スロウハイツと太陽『空蟬』

あれから何回目の夏を迎えたのだろうか。 今日はいつもより少し暑くて、何となく気が遠くなる。そしてあの日に似たこの虚無感はきっとこれからも忘れることはないんだ、と僕は毎年思う。 その季節を象徴するようなヒグラシの鳴き声はいつも耳に響く。 いつも…

uguis「24時間の幸福」

朝が迎えに来て、外が明るい。 窓辺には朝日の光が差し込み、時が過ぎることも忘れてただその空間にずっと居た。 その時このまま二人だけの時間が止まればいいなって思っていたのは、きっと僕だけだっただろう。 他人が僕が今考えていること、頭の中を覗く事…

水槽のクジラ「開け放つ窓」

明日の朝、僕は目を覚ましたらきっとここには居られなくなる。 そんなことを考えていたらもう夜中の2時を指す針。 ここには居られなくなっていた。 もう明日をとっくに迎えていたみたい。 あなたが最後に見ていた終わりの季節が巡って来る度に、その季節独…

イロムク『口癖』

「最近あんたの口癖それだよね。」 昨夜友人に言われて気がついた。私はいつの間にかあの人がいつも口にしている言葉を発していた。カップルは一緒にいると顔が似てくるだとか、口癖が似てくると聞くけどそういうものの一種なのかもしれない。 でも私たちは…

uguis『痛々しいラヴ』

初対面の君は仏頂面で一切笑ってくれなかったし、口も対して聞いてくれなかった。だから片手で数えられるぐらいの会話しかしていなかったような気がする。 そんな君も合う回数を重ねる毎に心をゆっくり開いてくれた。じっくり時間をかけて、考えて、発せられ…