水泡

とある曲を聞いて頭に流れた景色を言葉にして綴る場所。

電ポルP『曖昧劣情Lovers』

こんなにも憂鬱な気分になる乾いた恋心はどこかに隠していたい。
でも本当はどうしようもなくて、自分でもコントロールなんて出来なくて。
誰かに気に入られるように振る舞うのは嫌いなんだけど、すごく嫌いなんだけど、どうしてもあんたに好かれたくて、私は上手に演じようとしている。あんたが好きそうな女の子を。
 

叶うんだったら、今すぐにその指先に触れたい。

でも実際はそんなこと出来る場所にも立場にも居なくて、虚しくなる。
考えるだけで、辛くなる、苦しくも、もどかしくもなるの。
夢ならそれが叶うから、笑顔で居られるのにね。
 
たぶんあんたに「好き」と伝えても、きっと優しく笑ってはぐらかすだろうね。
「でもね、けどさ」って言いながら、私の気持ちなんてどうでも良くてさ、自分が誰かに好かれているっていう優越感に浸って何度も、何人にも繰り返しているんでしょ?
思わせぶりな態度で遊んでてさ、ずるいよ、どうせまだ好きだってわかっているくせに。
 
どんなことをされてもいつもあんたを許してしまう。
でっかくて、やっかいで、どうしようもない、あの病にかかってしまった。
「好き、好きなの、愛してるから」なんて千回唱えたって、何も伝わってないんだろうな。
言葉なんて嘘みたいな、全てを0にしてしまう効果のない魔法みたいだよ。
いつかかるんだろうね、あんたはこの魔法に。あんたじゃだめなのかな。
 
本当のことは隠しきれないんだね、泳いだその目を見逃したりなんてしないよ。
あんたの言葉で今すぐ私のことを満たして欲しい。
ねえ、いつもの曖昧な言葉だっていいから、お願い。
 
すぐに呼び止めたいよ、出来るのなら。
他の誰も居ない空間であんたを独りじめして、こんな作り上げた私じゃなくて、本当の素の私で、素直な私で、そこに居たいよ。
夢だったら全部消えちゃうから、嘘なんて少しもつかなくていいのにね。
 
あんたは相変わらず何も知らないで、当然のように優しく笑う。
私が何も知らないような、いつも通りの態度に心が乱されて、でもそれが心にくる。
 
私はいつもあんたのことばっかり考えてて、どうやったらこっちを向いてくれるのか、どうしたら私を好きになってくれるのか、気にしてくれるのかなんて悩んだりしているのに、あんたは変わらないね。やっぱりどうにも出来ないみたいだね。
「好き、やっぱり好きなの、愛してる」って何回唱えたって、叶わない。
馬鹿みたいな、この魔法。
 
感情、愛情、その他諸々を私は知らなかったって決め込む。
あんたのこと好きじゃなかった、好きにならなかった、気のせいだったって決め込む苦労、そういうのわかる?わかんないでしょ?だって知らないでしょ、私がどうやって好きになって、どのくらい好きで、どうしようもなく大好きで。
でもね、それが良いって、振り向かないあんたが、思わせぶりな態度で遊んでくれるだけで思ってしまう。やっぱりずるい、ずるいね。
 
何をされたっていつもあんたを許してしまう。
でっかくて、やっかいで、どうしようもないこの病は続く。
「好き、好きなの、愛してる」って千回唱えても、何回唱えても、きっと少しも届かず終わってしまう馬鹿みたいだって何年も時間をかけて気づく、どうしようもない恋だった、と。