水泡

とある曲を聞いて頭に流れた景色を言葉にして綴る場所。

popoq『flower』

人は与えられた道をひたすら歩く。

保育園または幼稚園、小学、中学、高校、大学、社会人へと。
早い段階でいつしか気づいたことがある。
僕は周りの他人(ひと)よりも「不出来」だということ。
それに気づいてからは何故だろう、いつしか同じ夢を繰り返し見るようになった。
夢から覚めればいつもと変わらない日常が待っているのに、抜け出せずにいる。
誰かに囚われているのか、魅せられているのかわからずにいる。
これは毒されているというのが正しいのだろうか、幼い頃からそこでしか会えないあなたを探し続けている。時だけが過ぎ、この年になっても未だに。
もう一度、もう一度だけ、夢の中で待ち合わせしよう。あの白樺の下で、ずっと僕は待っている。もう何年も、そこで。
 
手がかじかんで震える夜空の下で、居場所を忘れた瞳で追い掛ける。
煙草を口に含み、吐息に混ざって消えて行くその姿を。
これだけ待ってもあなたは現れてくれるはずなんてなくて、もうそろそろ僕の相手をしてくれるために、今日ここに来てくれてもいいんじゃないかな、なんて馬鹿らしい。
あれからどれくらいの時が経ったのだろうか。
日常の中で思い出されて、何かに縛られて、全てが薄まる眠りの時でさえ、深まる謎の記憶を、次はどうやって忘れさせようか。
 
でも僕はどうやっても、この毒された脳からは逃れられないんだろうな。
だって幼い頃出会ったあなたにまた会いたいと思っている。
 
だから、ずっとあの丘の上で、あの白樺の下で、待っているよ。
 
あなたと出会ってから数えきれない程の年月の間、生まれた空白をどうやって埋め尽くそうか?
僕はあの光景をずっと忘れずに、覚えている。
 
あれから君は変わった?
毒されているのは僕の方だけなのか?
 
ねえ、今の君はどうだい?