水泡

とある曲を聞いて頭に流れた景色を言葉にして綴る場所。

kozumi『窒素』

こんな生活なんてって本当は思っている。

気持ちは落ち着かずに時間と季節だけが過ぎて、私を置いて行く。
肌寒い風が知らせる、経過。
ああ、もうあの日に似た、9月だ。
だけど今までのこと全部無かったことになんて出来ないから、私は私に沢山嘘を重ねる。
 
「苦しいことなんてないよ」
君がいなくなったこと以上に苦しいことなんてない。
「何とかうまくやっているよ」
君に頼りっぱなしだったのに急にうまくできないよ。
 
継ぎ接ぎみたいにバラバラになった思い出を全部並べて、君を丁寧に思い出す。
あの時二人で行った場所、その時一緒に食べたご飯、見た景色。
何度通ったってそこには居ないのに。
わかってる。
わかっているんだけど。
私だけここに居て、ここでちゃんと息をしている。
 
「わたし、これからずっと孤独だよ。」
そう呟いてみても、誰も救ってはくれないし、見向きもしない。
 
会いたい、君が居た町に帰れば会えるのかな?
帰りたい、君が居るはずのあの場所へ。
 
元には戻らない昨日。
昨日を抱えて、薄れて行く明日。
でも最後は同じであって欲しい。
 
君が居た証拠は私が生きている証拠。
 
息をしているから。
ここにいるよ、ねえ。
 
君が居た過去が愛おしい。
明日なんて本当は欲しく無いんだ。
 
明ける夜が怖い。
いらない、明日なんていらない。
 
君がいた、あの日。
あの日に、私を帰して。
 
1人じゃこの町で息も出来ないよ。
ねえ、どこにいるの。
 
あの日に、私を帰してよ。